今回の episode は、担任教師の荒井と矢野のやり取りから良いと思ったところを紹介したいため、風早はお休みします。
27巻 episode 111. こぼれた
月日の流れは早いもので、街には雪の舞う季節が訪れた。
先生の言葉を心の支えにし、友達と励まし合いながら、受験勉強に弛まぬ努力を続けて来た矢野は、少しずつではあっても、確実に成績を上げて来ていた。
誰もが真剣になって勉強しているこの時期に、模試で成績を上げられた事は大きい。
ある日、進路相談室の席で、荒井と彼女は模試の結果を基に、次の戦略を立てた。
「 じゃあ すべり止めは ここでいいんだな? 」
「 はい でも ・・・ 」
「 なんだ? 」
「 ・・・ あたし
どうしても第一志望に受かりたいの 」
⦅ 無理だって思ってた大学が 50%まで きたんだ ⦆
「 おう 頑張れよ
まー実際よく頑張ってるよ
こっからもうひとふんばり ふたふんばり みふんばりだけどな 」
「 みふんばり? なにそれ 」
「 はは
あんまほめて気ー抜かれてもな 俺のせいにされても嫌だし 」
⦅ こっちはむり 0%
・・・ そう思うと
入試の方がずいぶん可能性あるように感じる ・・・・・・・・・・・・ ⦆
「 ・・・・・・・・・・・・
いー仕事してんじゃん 」
「 オイ
おまえは一体どっから目線なんだよ 」
⦅ なんていうか ・・・・・・
結局 先生なんだよね ・・・・・・・・・ ⦆
「 なんだ? 他に質問あるか? 」
「 あ 」
⦅ むむ 〰〰〰〰〰〰
どんなひとと つきあうんだろ このひとは ・・・
彼女ほしいとか言ってもさ
そのうち彼女できたってさ
それ絶対あたしじゃないし
それに このひと ・・・ 絶対 生徒に手ー出さない ⦆
「 終わりだな?
よし お疲れ! 主に俺が 行っていーぞ 」
⦅ あたしのことも そういう風には 絶対見ない ⦆
「 ・・・・・・・・・・・・
ピンは ・・・・・・ 」
「 ん? 」
「 ピンは いい先生だよ
あ ・・・・・・ あたしが保証してあげるっ! 」
「 ぷっ
だから どっから目線なんだよ ・・・ 」
⦅ どうこうするつもりも ないけど ――― ⦆
これまでの彼女であれば、得意な冗談でも言って、からかってみせるのが常であるが、今となっては、もう何も出てこない。
彼女はそう言うと、赤くなり始めた顔を隠すように、足早にその部屋を後にした。
良い仕事をする。
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