28巻 episode 114. 約束
廊下で何やら話す、母と息子。
「 じゃあもう お母さん寝るけど ・・・ くれぐれも ・・・・・・ 」
「 頼む 信用してくれ‼ おやすみ‼ 」
ばたん!
二人きりにするには心配で、落ち着かなくなった母を追い払う様に、息子はドアを閉めた。
父と弟は既に眠っている事だし、邪魔者がいなくなった今、安心して楽しく二人だけの世界を始められる。
二人はドキドキそわそわと変に意識しない様、お茶と蜜柑で落ち着き、こたつで温まった。
「 18歳 ・・・ おめでとっ!
ちょっ・・・と こたつの中にかくしてたから ほかほかだけど あけてみて! 」
それは可愛いリボンで飾られた小さな箱。
今の彼が、持てる財産で一生懸命に選んだ指輪である。
彼女の薬指に指輪がさりげなく光っていれば、それだけで男除けになるだろう。
大学に進学したら、近寄る男には見せて欲しいという訳だ。
しかし、彼女の右手薬指に着けてもらうために、彼の目測で買って来た指輪が上手く納まるはずは無く、色々と試した後で、その指輪は彼女の左手薬指に綺麗に納まるのであった。
「 ありがとう ――・・・!
私 〰 この指輪 一生 大事にするから 〰〰‼
一生 〰! 肌身離さず 〰〰・・・! 」
「 えっ‼ いや 安物だし!
いーよ 一生じゃなくて‼ 」
「 ううん 〰〰 一生大事にするよ 〰‼ 」
「 いや ていうか ・・・・・・・・・・・・
・・・ いつか もっと ちゃんとしたの 渡すから
ちゃんと 一生用の ・・・ 約束! 」
これはもう、彼からの結婚の約束に他ならない。
彼から思いがけない約束を取り付けた彼女は、嬉しくて、嬉しくて涙が止まらなくなった。
「 ・・・・・・ ははっ そんなかお見たら 俺も泣いちゃうよ! 」
お互いの小指を繋ぎ合わせて約束を交わし、彼女は願った。
・・・ おじいさんになっても おばあさんになっても
・・・ 隣で笑っててね ずっと ・・・ 仲良くしてね
離れてもだよ
彼とこれほど長い時間、一緒にいられるのは秋のデート以来。
家でゆっくりと寛いで楽しく過ごす、いわゆる『 おうちデート 』は仲睦まじく続いた。
双方がおうちデートも楽しめる。
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