29巻 episode 119. 卒業
「 おまえら やってくれたな‼
こってり怒られたわ‼
あの老人たち まじうっせーんだからな ―――‼
俺の身にもなれよ‼ 」
卒業式を終えたクラス一同が集まった教室に、荒井の声が響き渡った。
PTAや年配教師陣に説教されない様に七三で臨んだ卒業式が、彼が率いるクラスの問題児達のいつも以上に浮ついた調子の振る舞い、更には事も有ろうに優等生の黒沼までもが厳粛な式を予定通りに終わらせてくれなかった事で、彼は最後の最後まで手を焼かされた。
思えば彼は、いつもそうであった。
しかし、誰に対しても温かく叱ってくれた。
風早が1年生の時、途中から担任教師に抜擢され、進級時のクラス替えの際には活きの良い問題児を何人か任されていたかも知れないが、彼自身も問題教師であるだけに相性は良く、クラスはそれなりにまとまってやって来られた。
答辞の最中、卒業生達には沢山の思い出が駆け巡った。
この卒業式まで叱られた教え子達も、全てが素敵な思い出として胸にしまえたはずである。
「 ねーねーピンー 担任からの言葉はァ〰⁇ 」
「 ねーわ‼ 解散‼ 」
「 えー !!! 何それ 〰〰〰‼ 」
「 言う事なんか かわんねーよ!
何でも自分でどーにかしろ‼
おまえらが犯罪者になっても多分味方だからよ‼
ま‼ 達者でな‼ 」
彼は教え子達が犯罪者になってしまったとしても、忘れず、見捨てず、君の事を思うと言うのであるが、歳月を経れば、そんな問題児達も立派に成長した姿をきっと見せてくれる時が来るだろう。
今こそ別れめ、でもその前に集合写真を撮る事になった際、彼は矢野と話す機会が有った。
「 ・・・・・・ ねー ・・・・・・ 」
「 ん? 」
「 こ ・・・・・・ これで最後なんだよね
・・・・・・ も ・・・ 会えないんだよね ・・・・・・・・・ 」
「 言っただろ
俺はいつでも味方だよ 何があってもだ 」
「 ・・・・・・・・・・・・ っ ピン
やっぱ10年は髪立て続けなよ‼
そっちのが いい‼ そーして‼ 」
「 ん?
言われなくても立てるが ⁇ なにか ⁇ 」
「 ・・・ おろすと かっこいーから‼ 」
いつでも味方でいてくれる。
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