風早からモテる秘訣をもっと知りたい方々には大変惜しい事になりますが、この episode が最終回になります。
当記事に最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました。
風早が幸福な青春を送ることが出来たように、彼から教わった事が、一人でも多くの方々の人生に役立つ事を、強くお祈りいたします。
30巻 episode 123. 君に届け
今日は黒沼の引っ越しの日。
とうとう彼女にも、住み慣れた街、北幌を離れる時が来た。
彼女には、これから青春の第2舞台が待っている。
進路希望を聞き入れて大学に行かせてくれた両親に、彼女はとても感謝していた。
憧れの大学で始める新生活のためにしっかり準備して来た彼女は、両親と挨拶を終えると、夢と希望に満ちた笑顔で元気良く家を出発するのだった。
最寄りの駅に着いた彼女は、見送りに来てくれた友に、早速笑みをこぼした。
そこには、先に引っ越したばかりの風早も来てくれた。
この機会を逃せば彼女にしばらく会えないとわかっている彼は、手紙を書き認めていた。
この手紙は、去年の彼の誕生日に黒沼がくれた手紙への返事となっている。
彼女への愛を、文章で綴ったラブレター。
口にしたら恥ずかしい様な事も、手紙なら正直に伝えられる力が有る。
これから身を置く世界で忙しく大変な日々を送ったり、新しい交友関係を築いたりしても、遠距離恋愛を楽しく続けられる様に、彼は愛の努力を続ける事を手紙に綴った。
列車がホームに到着し、再び出発する直前まで、二人は別れを惜しみ合った。
扉が閉まり、発車の合図でゆっくりと走り出す。
次に会える日は、いつになるのか分からないままで、互いの姿は小さくなっていく。
彼の姿が完全に見えなくなると、彼女は揺れる列車の中で、ゆっくりと手紙を読んだ。
離れていても、あなたのことは片時も忘れない。
あなたとなら、この遠距離恋愛を必ず無事に続けられる。
彼の手紙は彼女にそう思わせた。
あの時、同じ花を見て、美しいと言った二人の心がいつまでも通い合うとは限らない事は、二人とも分かっている。
しかし、二人には心配や不安が何も無かった。
私たちは かわってゆく
それでも 終わらない気持ちがあります
すきです
あなたは私の世界を壊し 私に新しい景色を見せてくれた
あなたが どこにいて 何をしていても
自分と関りが あってもなくても
あなたが生きて そこにいて
なるべく元気なら それでいい
・・・ だって
次に会ったら また きっと笑ってくれるでしょう?
あの変わらない笑顔で
私の心を 難なくほどいてしまうでしょう?
私はあなたに届きたい
いつも いつまでも
お互いの心の距離が全く無い様に、二人の交際は、これからも楽しく幸せに続く。
離れていても愛を届けてくれる。
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