風早翔太に学ぶ!モテる秘訣 ‹ 16 ›

4巻 episode 16. くるみ

人目に付かない涼し気な木陰で、黒沼と胡桃沢が話し合う。
落ち込んだ様子の胡桃沢は、この場にずっとしゃがみ込んだまま試合を放棄していた。
以前に黒沼を苦しめたうわさを流していた主犯人は彼女である事が、矢野と吉田の鋭い追求で判明したばかりだ。
上辺うわべでは友達をつくろっていても、本当はそんなこと一度も思っていなかった彼女にとって、特に努力している様子も無く風早にかまってもらえる黒沼が、とても不愉快で邪魔だった。
中学生の頃から彼をずっと見てきた胡桃沢は、彼を誰にも獲られまいとして、作戦やくわだてなど数々の手を打ちながら、ここまでやって来た。
彼が振り向いてくれそうにない事を、薄々感じ取っていても。
そして今、噂を流した張本人が自分だと彼に知られたら、好かれないどころか嫌われてしまうのは明白だ。
矢野と吉田からこっぴどく責められた後で、もうこれ以上、噂の件で彼女を問い詰めるつもりの無い黒沼は、風早に恋する気持ちを自分だけに打ち明けてくれたように、自分も彼に恋している事実を伝えるために、ここにいるのだ。
木の下で一人しゃがみ込んでいる胡桃沢を発見した黒沼は、自分が求めていた、風早に対する『 とくべつな気持ち 』の答えを報告した。
「 私  風早くんがすき
  ちゃんと恋愛感情で 風早くんが だいすき
  は ――――っ  初めて口に出した ・・・・・・・・・・・・
  友達に言うのって ・・・・・・・・・
  ・・・・・・ こんなにドキドキするんだね ・・・・・・・・・
  ・・・・・・ 私に言ってくれた時 ・・・・・・
  くるみちゃん こんなだったんだ ・・・・・・   」
「 友達じゃないって ・・・・・・
  だからあんたと一緒にしないでって ・・・
  言ってるじゃ ・・・           」
「 緊張 ・・・・・・しなかった?
  すこし ・・・ はずかしくなかった?
  すこし ・・・・・・ うれしくなかった ・・・?
  言葉にした時とか 「 すき 」って自覚した時 ―――― ・・・ 」
「 ・・・・・・ うれしい ・・・?
  ・・・ なんで爽子ちゃんに言ったことで わたしが ・・・・・・?
  邪魔だって 言ってんじゃない‼
  何の苦労もなく風早の周りにいるあんたなんて嫌いだって ・・・・・・・・・
  爽子ちゃんが相手なら 勝てるって思ったよ‼
  だって わたしの方が爽子ちゃんよりずっと  ずっと ・・・・・・・・・  」
「 ――――― ・・・・・・ 」
「 ずっと ――― ・・・ 
  風早のこと すきだもん ・・・・・・・ 絶対そうだもん ・・・・・・・・・ 」
今頃はもう、矢野と吉田から噂の話が風早の耳に入っているかも知れない。
風早を振り向かせるのはもう無理だと絶望を感じた彼女はとうとう泣き出した。

タイプの違う二人の女性から恋されている。

    恋のストライクゾーンに入る長所や特徴を多く持っている。

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