2巻 episode 6. 決意
いつも 私の心を一歩動かしてくれる 風早くんの言葉
彼女は、風早の言葉に救われた。
喉が痛くなり、鼻が詰まるほど涙した彼女は、隣の広場で腰を下ろし、彼から差し出された飲物を手にして少し落ち着いた。
・・・・・・ さっきまで 私 ・・・・・・ すごく絶望的な気持ちだったのに
不思議 風早くんが笑うと
なんだか気持ちが晴れていくみたい 心がほどけていくみたい ・・・・・・
・・・ うれしかった 「 いてもいいんだよ 」って言われた気がして
嬉しかった 噂よりも 私自身を認めてくれたんだ ・・・・・・・・・・・・
腰を下ろした二人は、落ち着いて話し合った。
「 ・・・・・・ そっか
矢野や吉田とも 噂が原因でぎくしゃくしてたのかあ 」
彼女を気遣いながら、話を続ける風早。
「 俺は吉田たちの気持ちはわかんないけどさ
相手だって わけわかんないのにさけられたら 不安になるかもしんないよ
・・・・・・・・・・・・ すくなくとも俺は不安だったよ 」
「 ごめんなさい ・・・ 」
「 だめ! 絶対だめ! あはははっ 絶対 もうだめ! 」
そんな風に、彼は笑って彼女との関係を取り戻してしまうのだった。
気持ちが楽になった黒沼に、ある一つの決意が生まれた。
それは、親友を手に入れること。
学校に行けば、何でも話せる友達が取り囲んでくれるほどいてくれて、優しくしたり、優しくされたり、いつも冗談を言って笑っていられる。
そんな生活に、彼女はずっと憧れていたのだ。
気持ちを言えるひとがいる
聞いてもらえるひとがいる ――――― ・・・
「 ・・・・・・ ありがとう 風早くん!
私 ・・・・・・ 吉田さんと矢野さんと ちゃんと話してみる!
私 ・・・・・・ 吉田さんと矢野さんとは ・・・・・・
ク クラスメイト ・・・ とかじゃなくて ・・・
と 友達に ・・・・・・・・ ・・・ なれるように がんばってみるね‼ 」
「 ・・・・・・ うん! がんばれ‼ 」
「 うん ・・・・・・・・・! 」
彼女は前を向いて歩き出した。
⦅ ・・・ 黒沼がんばれ 黒沼がんばれ がんばれ ⦆
遠ざかる彼女の後ろ姿を見つめながら、彼は心の中で「 がんばれ 」と何度も応援した。
本心で応援してくれる。
[ 広告 ]