風早翔太に学ぶ!モテる秘訣 ‹ 77 ›

19巻 episode 77. 宿題

⦅ 今年も みんな笑って すごせますように ⦆
初詣で祈願した黒沼の望みから、彼女の人柄を感じる事が出来る。
この日、彼女の首元からのぞく七色に輝くネックレスが、彼女をより可愛らしく見せていた。
彼女が嬉しそうに身に着けているその首飾りは、勿論もちろん風早からの誕生日プレゼントである。
彼女が喜んでくれるだろうか考えて、真剣に選んだそのプレゼントを身に付けてくれている事に感激した風早は、色香の増した彼女に温かくそっと見とれていた。
ネックレスは、装飾品の中でも女性が喜ぶプレゼントとして実際に人気が有る。
清楚な印象の黒沼に似合うものも沢山有る。
それゆえに、無数の商品から彼女が気に入るものを探すのは、とても難しい。
彼女の好みを事前に把握しているのは当然の事、ブランドのイメージや狙いとする客層を理解した上で、その中から特別な一つを探し出す事は、なかなか骨が折れる作業である。
そして、自分で考えて選んだ結果、彼女の本音は『 気に入らない 』という事が起こり得る。
出来れば風早のように、彼女を『 わぁ 』と喜ばせたい所であるが、プレゼントをするなら彼女と一緒に楽しく選んだ方が、かしこい買い物が出来る気がする。
プレゼントに驚いて喜ぶ彼女は見られないが、自分で選ぶより彼女が選んだ方が失敗しない。
また、女性にネックレスをおくる際には、気を付けるべき事が幾つか有る。
その一つに、心理から由来するものが挙げられる。
ネックレスを女性に贈る者の中には、猫に首輪を与えるかのごとく、彼女を恋人では無く所有物か何かとして認識している背徳者が存在するのである。
彼らは彼女を、自分を良く見せるための『 物 』として見ている。
プレゼントをしても、たまに優しくしても、普段の交際に独占欲や征服せいふく欲などから来る言動があるならば、そこに愛は無い。
「 ・・・ 黒沼は 黒沼の喋りたい奴と喋ればいーよ  物じゃないんだから 」
以前に風早は、三浦とのやり取りで、彼女の意思を尊重する発言をしていた。
だから彼のプレゼントや優しさは、彼女を想っての事であると言える。
黒沼がネックレスを「 大切にするよっ‼ 一生いっしょう 」と口を滑らせていた様に、二人の仲はこのまま順風満帆じゅんぷうまんぱんに進んでくれそうである。
冬休みが明ければ、進路指導が始まる。
『 早目に目標を定め 全力を尽せ 』
と、彼女の引いたおみくじにはしるされていた。
それに、三学期を迎える前、幸運にも荒井に会った彼女は、彼からこんな言葉を貰った。
「 あ そうだ 黒沼  おまえに1つ宿題
  三学期までに自分の将来のあらゆる可能性を 1つでも多く考えること 」
それは、彼女に自分の ”未来” を考え始める時期が来ている事を意味していた。
将来性の有る可愛い教え子の進路は、担任教師ならば、真剣に考えてやりたいもの。
真面目な教師の顔になって注文する荒井から、彼女は事の重みを受け止めた。
( は ――― 将来かぁ ・・・
  思っていたよりも ・・・・・・ もうすぐそこなんだぁ ・・・ )
自分がやりたい事とは、何だろう?
自分に向いている事とは、何だろう?
これから彼女は自身の将来について、深く考ていく事になる。

彼女を想ってネックレスを贈った。

    彼女を所有物扱いしない。

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