22巻 episode 89. 認めたいの
今回の episode は、塾に通う進学組について主に描かれているため、風早は登場していません。
そのため、矢野の同伴で塾に通う三浦健人から、良いと思った所を書き記してみます。
D教育大学 絶対合格 !!!
この栄冠を手にするために、何よりも受験勉強を第一優先とし、短い睡眠時間を割いてまで毎日懸命に勉強する胡桃沢であったが、その努力も空しく成績が伸び悩んでいた。
彼女の祖母や両親が当該大学の卒業生とあり、今の成績では合格の遠い彼女にかかる精神的圧力は耐え難い程に強くなっていた。
不安に駆られて勉強する毎日で、夜は床に就いても深く眠れずに睡眠不足となった彼女は、普段の力を発揮出来なくなるばかりか体調不良まで引き起こしてしまい、勉強すれども伸びない成績に危機感を募らせていた。
そんなある日、塾に通う進学組での出来事 ―――
彼女が塾に到着すると、開始前の教室では矢野と黒沼が恋愛話に花を咲かせていた。
自分とは対極的に余裕の有る二人を見て、彼女は苛立ちを隠さなかった。
「 あやねちゃん 推薦じゃなかった⁉
やめてよね 冷やかしで塾通うの!
こっちは本気なんだから‼
しかも男連れってなんなの !!! 」
事実、推薦予定の矢野と同じ大学に合格したいがために、三浦も塾に通っている。
「 何ひとごとみたいに言ってんのよ
爽子ちゃんもよ !!! 合格圏内のくせに !!! 」
彼女の八つ当たりは、黒沼にも向けられた。
半泣き顔になる彼女に事態を重く見た矢野と黒沼・・・
今日のところは男子の三浦を抜きにして、塾の帰りにカフェへと立ち寄った。
睡眠時間を大幅に削ってでも勉強する彼女を見るに見兼ねた黒沼は、脳を十分に休ませる事も勉強と同様に大切である事を主張した。
「 ・・・ 寝た方が いいと思う
効率あげて 頑張ろ! 」
寝ても不安で眠れないと弱気になる彼女に黒沼は、自身の連絡先を記したメモを渡した。
「 私の電話番号と ・・・ メールアドレス!
・・・ 眠れない時連絡して!
眠れなくない時でも ・・・!
その ・・・ 愚痴とか! 気晴らしに ・・・・・・! 」
彼女はメモを受け取ると、その場でテキストを開け、顔にしわを寄せて復習を始めた。
睡眠不足も顔にしわを寄せるのも、美容の大敵である事を知っている矢野も心配していたのであるが、やりたい事が有って目標の定まってる二人を立派で格好良くて羨ましく思えた。
この時、スマートフォンに買い替えた矢野に、三浦からメッセージが届いた。
『 男子禁制どーお?
くるみ だいじょぶ ~??
いつも勉強お疲れ様!
今度オレともお茶くらい
しよーね! (^3^)-☆ 』
『 ごめんね。
うん、時間作るね。 』
『 ヾ( ´ ∇ ` )ノ ♡ 』
⦅ ぷ 似てる ・・・ ⦆
矢野は顔文字を上手く使いこなす三浦のメッセージに気が緩み、含み笑いを誘われていた。
二人の見守る前で、胡桃沢は難問に挑戦した。
「 ・・・ 爽子ちゃん 得意科目なに?
ちょっと この問題 解いてみて 」
黒沼は言われるがままに、その問題をあっさりと解いてみせた。
それを注意深く見ていた彼女は、黒沼の解説を聴いた後には類題を自力で解くのだった。
黒沼の思考に触れる事で自身の成長を実感した彼女に、再び意気が揚がった。
「 爽子ちゃん! 」
「 はい‼ 」
「 塾の合間 一緒に勉強しよ‼
わかんないとこ教えて‼ 」
「 うんっ
私もポイントしぼれるし やる気がすごいあがるから 助かる‼ 」
「 ・・・・・・ 爽子ちゃん ・・・ よろしく頼むわ! 」
「 うん! 」
お互いに刺激し合い、高め合える存在である事を確認する二人。
頑張ろう まだまだこれから 本領発揮
握手を求める彼女の手をしっかりと握り、黒沼は快く引き受けた。
可愛い顔文字・絵文字を使える。
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