23巻 episode 95. ありがとう
安全をとることが 悪いことだとは思ってない
受かる大学に行くのは 悪いことじゃない
・・・ でも ・・・
でも あたしは ・・・・・・・・・ ・・・ 東京の大学に行きたい
誰かのせいにするのは もうやめたい
自分を否定するのも もう やめたい
変わりたいと強く望んだ矢野は、三浦を前にして、遂に自分と向き合う事になった。
そこで彼女は進路を変更する意思を固めたのであるが、三浦を忘れるつもりは無かった。
彼がくれた数々のプレゼントや楽しかった思い出、真実の愛・・・。
彼は事有る毎に、彼女から可愛い所を一つ、また一つと見付けては、彼女を喜ばせて来た。
流行やファッションに敏感な彼女の容姿から発見するのは容易ではあるが、彼は内面に潜む『 可愛い 』を見付ける事も上手かった。
その内容は深く語られないけれど、交際を始めた当時の episode には、二人のこんな会話が記されている。
「 ・・・・・・ あたしのどこが そんなにいーの? 」
「 え ―― 全部だよ 全部! もーぜんぶ‼ 」
自分を肯定出来ずに、うつむく矢野。
「 ・・・・・・ あたしは
あたしのこと あんますきじゃないな 」
「 手 貸して? 」
「 え? 」
彼が矢野の手を両手で掴んだ。
「 そのままの 不器用なあやねちゃんがすきだよ ずっとだよ 」
「 ・・・ あたし
子供の頃から器用な方で ――
大抵の事は なんでも出来て ―― 」
「 でも ・・・・・・・・・・・・ 不器用だよ 」
彼女は頭が良くて空気も読める、それに勘が良くて抜かりが無い。
そう認識している彼が、彼女の事を不器用と言うのは、交際経験は多くても長く続かない、恋愛情緒に恥ずかしくて悪対応、気が強いから誰にでも毒舌を遠慮無く聞かせてしまう、そんな彼女の恋愛感について言ったのでは?、と考える。
もしそうであるとしたら、彼女は三浦から男運を上げる付き合い方を学べたかも知れない。
恋愛の器用な彼は、彼女を幸せにするために、彼女に盲目になってまで全力を尽した。
しかし、恋愛の器用なモテる彼が一人の女性に独占されてしまっては、彼の女子友達が残念な男と付き合う事になるかも知れない。
彼の能力は、全力で複数の女性を幸せにする、愛せる事であるから、それが矢野だけに全力とあっては、彼は十分に能力を活かし切れていない。
彼ほどの実力者であれば、その気になれば、いずれは複数の妻を持ち、全員で幸せな家庭を築く事が出来るのである。
『 可愛い 』を沢山見付けられる。
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