鰻〚eel〛

「土用のうしの日」にうなぎを食べる習慣は、暑さで食欲と体力が落ち易い夏の時期に「う」の付く美味しくて栄養価の高い鰻を食べて元気になろうという発想から、江戸時代に始まりました。
鰻に対する日本の食文化は人気が高く、昔話や童話にも登場しています。

養殖鰻は脂が良く乗っていて、天然鰻は引き締まった身で味わいがさっぱりしています。
スーパーマーケットや料理店などで見られる鰻は殆どが養殖ものであり、自然界で捕獲された天然ものは非常に希少となっています。
養殖ものの内、国産鰻は殆どが二ホンウナギ、中国産鰻はヨーロッパウナギが使用されています。


に ほ ん


 一生

ニホンウナギは日本から南に約2000km離れた太平洋のマリアナ諸島近海で産卵します。
ふ化して仔魚になり、太平洋を漂って北上しながら稚魚(シラスウナギ)に成長します。
河川に到着した稚魚は、成長を続けて成魚になり、繁殖の時まで川で暮らします。
鰻は一生のうちに一度だけ産卵して命を終えてしまうため、自然界では寿命の尽きる最後の行動がマリアナ諸島近海での繁殖行動とされています。
この生態から養殖鰻では自然な繁殖が困難であり、養殖は天然の稚魚を捕獲して育てる方法が主流となっています。

      鰻は絶滅危惧種

日本の食文化に欠かせない存在である鰻ですが、食用として市場に出回っている種の全てが絶滅危惧種に指定されている事は、あまり知られていません。
乱獲や生息環境の悪化などにより、自然界に生息している数が毎年減少していて、このままでは絶滅してしまう事が懸念されています。
この問題は、私達が未来も鰻を美味しく頂くために、見過ごす事は出来ません。

鰻が直面する課題

  1. 資源の減少
    河川や沿岸域の工業化・市街化に伴う生息環境の悪化により、鰻が減少しています。
    また、鰻の稚魚(シラスウナギ)の過剰な捕獲や密漁によって、自然界における鰻の個体数が年々減少している事も原因に挙げられます。
    そのため、天然鰻は現在非常に希少な存在となっています。
  2. 現在の養殖の限界
    自然界に生息している天然の稚魚を捕獲して育てる現在の養殖方法は、乱獲の助長に繋がり易くなっています。
  3. 完全養殖の課題
    鰻の完全養殖は成功しているものの、コスト面や技術的な課題がまだ多く、商業化には至っていません。
    しかし、これらの課題が解決出来れば、鰻の数を回復させながら市場への持続可能な供給が可能になります。

完全養殖とは、人工授精でふ化させた仔魚を育てて成熟させ、その成魚から次の世代を誕生させる事を指します。

鰻を未来へ残すために、私たちが出来ること

食用の鰻を絶滅の危機から救い、未来に残すために、私たちに何が出来るでしょうか。

  1. 消費量を見直す
    鰻を食べる機会を特別な日や少量に制限するなど、消費量を減らす事で乱獲の防止に繋がります。
  2. 代替品を選ぶ
    鰻に似た風味や食感を再現した代替品(うなぎ風蒲焼きなど)を選ぶ事で、鰻の需要を抑える事が出来ます。
  3. 資源保護活動への参加
    鰻の保護や研究を行う活動に参加してみたり、寄付などの支援をしてみたりする事も効果が有ります。
  4. 鰻が直面している課題について家族や友人と共有し、多くの人に問題を知ってもらう事も役立ちます。

未来への希望 ―― 完全養殖の実用化

現在、完全養殖技術の研究が進んでおり、実用化に向けた挑戦が続いています。
この技術が確立されれば、天然の稚魚に依存しない、鰻の持続的な供給が可能になります。
これにより、鰻は絶滅の危機から解放され、私達が日常的に鰻を美味しく頂く機会も増える事でしょう。
鰻は日本の大切な食文化の一部であると同時に、地球上の貴重な生物でもあります。
是非とも一緒に考えて、今するべき事、出来る事を行動していきましょう。

【効果】

  • 心血管疾患の予防
    鰻に含まれているオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)が、血液中の中性脂肪を減らして動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクを軽減します。
  • 脳機能の向上
    DHA(ドコサヘキサエン酸)には、脳の認知機能を高めたり記憶力や集中力を高めたりする効果が有ります。
  • 抗炎症作用
    EPA(エイコサペンタエン酸)には、体内の炎症を軽減する効果が有ります。
    これにより、慢性炎症を原因とするリウマチや、アレルギー性疾患などの症状の緩和が期待されます。
  • 老化防止
    鰻には、ビタミンAの一種であるレチノールがとても豊富に含まれています。
    このレチノールが体に有害な活性酸素を消去して、老化を抑制してくれます。
  • 免疫力の向上
    レチノールが免疫細胞に働きかけて、細菌やウイルスから身を守ってくれます。
  • エネルギー代謝の促進
    鰻には、ビタミンB1とB2がとても豊富に含まれています。
    糖質や脂質などの代謝が促進されて疲労回復を促し、細胞の成長や再生にも役立ちます。

【好ましい食べ方】

脂の乗った鰻の柔らかい身と甘ダレの組み合わせは炊きたての御飯と相性が良くて、「うな重」や「ひつまぶし」のような料理として愛されています。
やはり鰻は、料理店まで足を運んで最も美味しく頂く事をお勧めします。

鰻は生・刺身で食べられません。
鰻の血液には、特有のタンパク質で構成されている「イクチオヘモトキシン」という名のが含まれています。
この毒は非常に強力でも、加熱調理すれば毒性が失われるとされていますが、もし天然の鰻を捕獲するなどの機会が有りましたら、資源保護の観点からも逃がしてあげる事をお願い致します。

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